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新田祐克先生大好き。 BL/腐女子になります。 カテゴリーに分けて掲載をしていきますので、今日のblog(つらつらblog)には、BL/腐女子のつぶやきになります。 他カテゴリーはSSになりますので宜しくお願いします。新田祐克先生の代表作品『春を抱いていた』のSS中心になりますが、たまに他の作品や作者のがあるかもしれません。 ご理解ある方々、宜しくお願い申しあげます。

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春抱き★マフラー(赤い糸、紡ぐさきにあるものは…)

久しぶりに岩城の新潟の実家で過ごした日々も終わり、二人は帰りの準備をしていた。


『よし、できた。』


『岩城さん。はやっ!』


『お前が自分の家のように散らかしすぎているんだ。ほら!』


岩城は部屋に転がっている香藤のバンダナやベルトを集め手渡す。


『ごめんなさ~い。ほんっとに、居心地よくてさ~。つい…』


受け取りながら香藤は頭をかく


『京介ぼっちゃま。久です。失礼してよろしいですか?』


襖の越しに久子さんの声がする。


『久子さん、遠慮しないで入ってきてよ。』


香藤は岩城の返事も聞かず、元気よく襖を開けた 。久子さんはすっと部屋に入り正座をした。


『ありがとうございます。優しい京介ぼっちゃまと、明るい香藤さまと、またしばらくお別れと思うと大変さみしゅうございます。これは、手荷物が増えて申し訳ないですが、久からの気持ちです。お忙しいかと思いますが、お体にはお気をつけてくださいませ。』


そう言い、包みをスッと岩城の方へ差し出すと、久子さんは涙ぐんだ。
岩城は久子さんからの包みを受け取ると、久子さんの肩をだき


『久子さん。泣かないで、笑って送ってもらえないかな?また手紙を送るし、こうして香藤とも会いに行くるから。』


なだめるように岩城が言うと


『すみません。涙もろくて、また、いつでも来て下さい。久は待っております。』


涙を拭い顔をあげた久子さんは、にっこりと笑った。



+++++++++++





『ふぃ~。帰ってきたぁ~。』


香藤は、どさりと荷物を置きソファーに座り込む。


『こら香藤!コートくらい脱げ!』


『は~い。』


立ち上がってコートを脱ぐと、岩城が受け取りハンガーにかけて吊す。


『ありがとう。ねっ、岩城さん。久子さんのプレゼント見ようよ。』


『あぁ、そうだな。』


香藤がテーブルに包みを置くと、岩城はソファーに座った。


『じゃあ、開けますー。』


風呂敷を広げると、可愛らしい熊のラッピングの包みと、タッパーが二つ。


『あっ、久子さんのお漬物だ!冷蔵庫に入れてくるね。』


嬉しそうに香藤はタッパーを手にして、冷蔵庫に入れて戻ってきた。


『この包みは岩城さんが開けてよ。』


熊のラッピングを岩城に渡す。
岩城は、リボンをほどき丁寧にラッピングを開けると、真っ赤なマフラーが二本とカードが入っていた。


「京介ぼっちゃまへ
お仕事は楽しいと思いますが、無理をなさらずに、お体を大切にしてくださいね。
久子より」


マフラーを香藤に渡す


『うわぁ~。これ!!手編みだよ!柔らかい~。久子さんは、なんでも上手だよね。』


マフラーを広げて首に巻いて、手にした裾に目をとめ


『暖かい~。お礼の手紙書かなきゃね。』


目を細めて香藤は、嬉しそうに言う。


『よく似合ってるよ。冬は、どうしても黒い服が多いから活躍するだろうな。』

岩城も膝の上のマフラーを優しく撫でながら、嬉しそうに笑った。




++++++++++++



岩城と香藤は、久子さんのマフラーを巻き、土産を片手に新年の挨拶に事務所へ出掛けた。


『みなさん、あけましておめでとうございます。』


事務所のドアを開けると、スタッフが立ち上がり頭を下げる。


『社長。あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。』


土産をスタッフに渡し、社長室に入りコートを脱ぎはじめたところへ、清水が入ってきた。


『社長。あけましておめでとうございます。ゆっくり休めましたか?』


『清水さん、ありがとう。久しぶりに実家にも顔をだせたし。いい正月を過ごせました。』


清水は岩城からコートを受け取り吊し、続けてマフラーを吊した。


『あら?手編みのマフラーですね。香藤さんからですか?』


マフラーを伸ばしながら眺める清水。


『久子さんから、お揃いで頂いたんだ。僕には、ちょっと派手かな?』


椅子に座り書類を手にしながら岩城が言うと


『いいえ。とってもよくお似合いです。それに、たくさん使ってあげないと久子さんがかわいそうです。』

『うん?』


書類から視線をあげ首を傾げる岩城に


『赤色は、心臓や血液を元気にする色ですし、それに、こちらには久子さんの思いが込められてますから。』


清水はマフラーの裾を手に意味ありげに笑う。


『もちろん大切に使いますよ。それより…清水さん、なにをそんなに笑ってるんですか?』


不思議そうに聞く岩城に、口元に手をあて清水は


『あら?!社長。気がついていらっしゃらないのですね?』


ニンマリと笑う清水に


『なにをですか?』


岩城は席を立ち上がり


『香藤さんは気がついていらっしゃいますでしょうけど……。』


岩城は清水の方へ歩みよる。


『きっと大喜びされたでしょう?香藤さん。』


『確かに、お揃いだと喜んでましたが…。』


『それだけでは、ありませんよ。社長。』


清水はマフラーの両方の裾を手に岩城に見せる。


『わかりませんか?』


岩城は目をこらし


『そうですね…。糸が足りなかったのか、少し裾の部分の色が違いますね。』


『よくご覧になっていてくださいね。』


清水は片方の裾の色が異なる部分を指でなぞる。


『ローマ字のKですね。』

『そうですね。こちらには…』


清水が裾を取り直し指でなぞる。


『ローマ字のY………。えっ……。』


頬を紅く染める岩城。


『お二人をつないだ運命の赤い糸。末永くお二人の幸せに紡がれていきますようにですわ。』


謎解きをした清水は、フフッと笑い、のちほどお茶をお持ちしますねと社長室を後にした。
岩城の頬に一筋の涙が流れた。


『ありがとう。久子さん。』


涙を指先で拭い。マフラーを手にし微笑んだ。
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  1. 2015/01/02(金) 17:11:20|
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春抱き★目覚まし時計 2

『目覚まし時計は、ランダムに鳴るように設定してあるからね。あとは、起きる時間を設定するだけだから。』
ロケに出かける前日に香藤は、時間設定の説明して写真たての横に目覚まし時計を置いた。


『さっそく明日から使うか。』


時間を設定して写真たての横に並べる。


『おやすみ。』


写真の香藤に囁いて布団に入った。
なんども寝返りをうつ、眠ろうとしたが、目覚まし時計の音声が気になる。


『俺は目の前で入力したのに、香藤のバカ…勝手に入力してるんだからな。なに入力してるんだか…』


目覚まし時計の中の香藤を指先でつつき、時計に背をむけて目を閉じる。


『朝までのお楽しみか。』

フゥとため息をつき眠りについた。




『…起きて岩城さん。』


『……ん…ぅん……』


もう少し眠りたいと寝返りをうつ岩城。


『チュッ…おはよう。起きて岩城さん。』


声のするほうへ手を伸ばす。触れてくるはずの唇…あるはずの温もりがなく手が中をさまよう。


『んっ?…あれ…?』


寝ぼけ眼で、ぼんやりと寝室を見渡す。
香藤の姿はないが、声が響き渡っている。


『香藤…?』


体を起こし問いかけるが返ってくる言葉は


『チュッ…おはよう。起きて岩城さん。』


寝起きの頭を掻きむしる。ふと思い出してベッドサイドの目覚まし時計を見る。


『チュッ…おはよう。起きて岩城さん。』


時計から香藤の声が繰り返し流れていた。
ボタンを押して音声を止め、目覚まし時計を持ち上げる写真の香藤を見つめる。


『おはよう。……起きれないことはないんだが……なんだかなぁ……』


目覚まし時計を元の場所へ下ろして階下へおりていった。




+++++++++




ゆっくりと湯舟に浸かり、一日の疲れをとり寝室へむかう。


ベッドに腰を下ろして、目覚まし時計を手にし起床時間の設定し、布団に潜り込む。


『あいつ…何を入力しているんだろう。』


気になり起き上がり目覚まし時計を手に裏をみるが、音声を確認するボタンがわからない。


『そうだ。いま鳴らせばいいのか。』


岩城はアラーム設定時間を数分先にし、しばらく待つ。


『岩城さん、まだ眠い?朝だよ。今日も頑張ろうね。』


また数分先に設定し


『可愛い寝顔~。ず~と見ていたいけど、起きて岩城さん。おはよう愛してるよ。』


目覚まし時計の写真の香藤に


『なんて言葉入力してるんだ。これで聞いたのと合わせて三つ…俺が入力したのと同じだな。これで終わりだな。』


甘い香藤の目覚ましメッセージに照れながら、岩城は設定時間を起床時間に直しベッドサイドに置き眠りについた。




翌朝
爽やかなせせらぎの音が流れるなか、枕を抱きしめ、まどろんでいる岩城の耳にコンコンとノックに続き


『失礼いたします。麗しい岩城さま。朝でございます。』


かしこまった香藤の声が響き、朝から…こめかみを押さえた岩城は


『この目覚まし時計を使うのはオフの日だけにしよう。どうも心臓に悪い。』


鳴り響く香藤の声を止め、新しい一日へ歩みだした。





………………………………
お友達からリクエストいただいた、香藤くんの目覚まし時計のメッセージです?!お話作れるかしら?と思いましたが…なんとかできました。楽しめたでしょうか?
きっと、香藤くんのことだから、こまめにメッセージ変えるんだろうなぁー。
  1. 2014/10/16(木) 21:09:52|
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春抱き★目覚まし時計

パジャマ姿で、むかい合ってベッドに座る二人。


『ん~、固い~。』


香藤はボタンを押して、もう一度と岩城の方に手をむけた。


『おはよう、香藤。』


カチカチとボタンを押して確認する。


『ねぇ…そんなに強張らないでよー。』


『香藤…そうは言ってもな。』
そういうのはどうも仕事の意識がでてしまうと、岩城が指差す先にはレコーダーがあった。


『う~ん。なんかいい方法ないかなぁ。』


香藤は頭をカリカリとかきレコーダーを睨みつける。

『確かに、これ…むけられるとインタビューの仕事意識しちゃうから仕方ないか。また何か考えるよ。』


香藤がレコーダーを片付けて振り向くと、うなだれて、すまなそうにしている岩城が座っている。


『無茶なお願いしてごめんね。岩城さん、今日はもう休もう。あっ、マッサージしてあげる。』


『でも、香藤…』


『いーから、ほら俯せになって。』


香藤にうながされ岩城が俯せになると、ベッドサイドにアロマキャンドルをつけ、ゆっくりマッサージをはじめた。
しばらくすると岩城から寝息が聞こえ、香藤はそっと布団をかけると寝室を後にした。




数日後…


『ねっ、岩城さん、これみて。』


岩城が本から目をあげると、香藤がデジタルフォトフレームを手にしていた。二人の写真が写っている。


『ずいぶん小さなのを買ったんだな?』


『これね、目覚まし時計なんだ。』


『へぇ~』


まじまじと見つめる岩城に、ほら、ここに時間表示あるでしょう?と指をさす。

『でね、なんと音声入力ができるんだ。ためしに俺がやるね。』


カチとボタンを押し


『おはよう岩城さん。今日も頑張ってね。』


ボタンをカチと押すと録音されたメッセージが流れる。


『ほんとだ。』


『で、これを消してっと。』


ボタンを操作して時計を岩城の方にむける


『まさか、俺が…』


『うん。ほらここみて。』

香藤は写真を指差す。


『スピーカーを気にしないで、写真の俺を見てね。俺がオッケーサインだしたら、いくつか言ってよ。』


岩城は言われるがままに、視線を写真にむけ深呼吸をし軽く目をとじて、ゆっくりと目を開けると香藤のオッケーサインが見えた。


『おはよう香藤。遅れるぞ。』


少しして再びオッケーサインがでる。


『まだ眠いだろうが、そろそろ起きよう時間だぞ。』


続けてでたオッケーサインに


『起きたか?今日も一日頑張れ。香藤、愛してる。』


香藤はボタンを押して時計をテーブルに置いて、岩城を抱きしめる。


『ありがとう岩城さん。これで、長期ロケ乗り切れるよ。』


『そうだったな。ロケ入りか…』


少し寂しそうに岩城が俯く。


『さっきの時計ね。岩城さん用のをベッドサイドに置いておいたからね。』


『んっ?』


『俺のメッセージ入りだからね。』
使ってねっと囁いて頬にキスをする。


『ありがとう。』


俯いていた岩城は、香藤を見上げ微笑み


『最高の作品が出来上がることを祈るよ。』


見上げる岩城の顔を、宝物のように両手で優しくつつみ


『うん。その笑顔…焼き付けとくね。頑張ってくるよ。』


愛おしい岩城に微笑み返した。




………………………………
電子配信の『春抱き』おまけで、香藤くんの鞄の中身拝見に、岩城さんの音声入り目覚まし時計があると、お友達から聞いて小物テーマにして、どんな風に録音したかなぁと想像して書いてみました。
実際、調べてみると音声入力できる目覚まし時計ってあるんですね。
今回は、デジタルフォトフレーム付きの目覚まし時計で、音声だけでなく写真を眺めれるようにしました。
こんな二人の音声入り商品あったらバカ売れですよねー。
欲しい…
  1. 2014/10/14(火) 21:19:52|
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春抱き★エプロン…2終

バタバタと階段を降り香藤が食卓へ戻ってくると、食事の準備を終た岩城は冷蔵庫から麦茶ポットを取り出していた。


『わっ、ほんとうにリクエストした肉じゃが作ってくれたんだぁ!』


香藤は椅子に座りながら嬉しそうに言う。
岩城は、麦茶をグラスにそそぎ香藤にわたした。


『あんなに毎日ねだられちゃーな。』


ただし味の保証はしないぞと岩城はつけくわえた。


『あは。恋人に作ってもらいたい料理!!No.1肉じゃが!岩城さんに作ってもらいたかったんだよねぇ~。』


『さて、食べるか。』


岩城も椅子に座ろうとし、エプロンに手をかけると


『はずしたらダメ!今日は、そのまま。』


香藤にエプロンをはずすのをとめられ


『仕方ないな。』


岩城は諦めたようにエプロンをしたまま椅子に座った。


『ありがとう岩城さん。いただきます!』


『いただきます。香藤、疲れとりに、酢の物も食べるんだぞ。』


すっと、胡瓜とワカメの酢の物の小鉢を香藤の方へ差し出す。


『ありがとうー。岩城さん。』


酢の物を口に運ぶ


『んんぅ~。美味しい。』

香藤が麦茶を飲み、ほぅ…と落ち着いた息をはき、肉じゃがに箸をのばし口にするのを岩城はじっとみていた。
香藤は口を動かしながら


『ふぉしたの?』


『いや、味…大丈夫だったかなと……』


岩城は、肉じゃがを口にしながらポソリといった。


『優しい味で美味いよー。ジャガ芋にも味がしみてて、ほんとうにおいしい。』


嬉しそうに、ニコニコと食事をする香藤を見て、岩城は幸せを感じながら食事をすすめた。





『ごちそうさま。』


『よく食べたな。』


『ほんとうに美味しいかったんだもん。』


岩城は、空っぽになった食器を重ねキッチンへ運ぶ。

『あっ、片付けるの手伝うよ。』


残りの食器を手にキッチンへ来た香藤に


『そうだ。香藤にもエプロンをしてもらおう。ちょっと待ってろ。』


岩城はキッチンをでて、戻ってきた手には同じ色のエプロンがのっていた。


『えっ、俺の?ってか…そんな可愛い色…俺が着るの?』


『もちろん。ほら。』


岩城から差し出されたエプロンを受け取り、香藤は恐る恐る広げた。


『うわぁぁ~~。フリルついてるよぉ~~。可愛すぎるよ~~。えぇ~~マジ着るの?!』


『おい、俺に着せたままで、自分は着ないのか。』


岩城が少し怒りながら言うと


『着ます!着ます!岩城さんとお揃い嬉しいなぁ。』

と言いながらエプロンを着た香藤を見て


『ぷっ…』


岩城は口元を手で押さえ、ククッと笑った。


『んっもぁ~笑わないでよぉ~。色はともかく、俺にフリルは確かに似合わないけどさぁ。』


『悪い、悪い。サイズ合ってよかった。うん…確かに色は似合う。』


目尻の涙を指先で拭いながら岩城が言う。


『これ、岩城さんが買ったんじゃないんだよね?』


『いきさつは、これ片付けてから話すよ。』


岩城は食器を指先さす。


『そうだね。』


二人で食器を片付け、ビールを冷蔵庫から取り出しソファーに並んで座った。


『香藤。誕生日おめでとう!』


『ありがとう岩城さん。夕飯美味しかったよ。』


乾杯をし、冷えたビールを飲む。


『んぅ~!!家で飲むビールは上手いね!』


気持ち良さそうに言う香藤を見て


『誕生日だから、ワインとかにするかと思ったんだが…朝はやく京都じゃな。ゆっくり飲んでられないものな。』


少し残念そうに言う岩城に

『岩城さんと、ゆっくり飲めないのは残念だけど…あんなに美味しい夕飯食べられたから幸せだよ。』


ビールをテーブルに置き、ありがとうと岩城を抱きしめる。


『ねぇ…このエプロンってさぁ…』


香藤はエプロンの裾を持ち岩城に聞く


『ほら、このまえ佐和さんが家にきたって話したよな。』


『うん。あの話しの途中で俺…寝落ちしちゃったんだ、ごめんね。』


しょげた香藤の髪を撫でながら岩城は


『仕方ないさ。撮影が続いてるんだから、急に睡魔に襲われることもある。佐和さんが新しい事業を立ち上げるそうだ。今度はアパレルで、これはその試作だ。』


『へぇ~?!いまですら大実業家なのに、また起業すんの?で、アパレル??今までは飲食が多かったよね?』


驚く香藤に


『佐和さんは自分達のような生き方をしている人が少しでも、オシャレを楽しめるようにしていきたいという考えみたいだ。』


『たしかに、サイズとかデザインとか少なそうだもんねー。なるほどね。で、この色やフリルの可愛さは佐和さんの趣味かぁ。言われれば納得。』


エプロンの裾をもてあそぶ香藤に


『佐和さんが俺達をイメージして色やデザインしてくれたエプロンだぞ。第1号作品を俺達にくれたんだ。』


『えっ、そんな大事なの…いーのかな。俺達がもらって。雪人くんは?』


『俺も、そう言ったんだが……今回のは俺達が1番でいいそうだ。雪人くんには、ゆっくりと会える時に作るそうだ。』


『そっか……。はやく二人で、ゆっくり過ごす時間ができればいいのにね。』


岩城を抱きしめる香藤の腕に力が入る。
香藤の髪を優しく撫でる岩城の指を感じながら


『ねぇ~佐和さんのことだから、型にはまった服だけでなく、オーダーメイドとかしそうだよね。』


香藤は思い付いたように言った。


『たしか…それもやりたいと言っていたなぁ。』


香藤は、ソファーの上で跳ね上がり、嬉しそうに手を叩いた。


『じゃあさ、そのときは、俺達のデザインでエプロンを作ろうよ。』


『そんな…』
無茶を言うなとたしなめる岩城に


『このエプロンは確かに世界に一つだけど、俺達(じぶんたち)でデザインした世界に一つが欲しいな。』


『ただし…こういうのは、この一枚だけにしておくんだぞ。』


岩城はフリルをつまんで言う


『ちぇ~。先にダメ出しされちゃった。』


頭をかく香藤は、楽しみができたねと岩城に微笑むと、岩城の手をとり立ち上がり抱きしめ


『ねぇ。朝までの短い時間…岩城さんのすべてを俺にちょうだい。』


岩城の耳元で甘く囁いた。
真っ赤になった岩城は答えるかわりに、香藤の首に両腕をまわし甘えるよう身体をあずけた。
  1. 2014/07/17(木) 23:14:38|
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春抱き★エプロン…1

掃除機を片手に降りてきた岩城は、鳴り響くインターフォンを慌てて取る。


『お待たせしました。岩城です。』


『こんにちは~社長。佐和で~す。』


『お久しぶりです。いま開けますね。』


掃除機を隅に置き直し玄関へむかう。
ドアを開けると日傘をさした佐和が微笑んでいた。


『ごめんなさいね。お休みのところ…ちょっと渡したい物があってね。』


『いえ、退屈していたところですよ。佐和さん、なかへどうぞ。』


『あら?いいの?』

佐和の目は香藤が不在なのに自宅にあがって問題ないのか?と聞いていた。


『えぇ、佐和さんは俺達の理解者ですからね。さっ、どうぞ。』


岩城に案内されリビングのソファーにかけると、隅に置かれた掃除機に目に入る。


『掃除中だったのね。何回も鳴らしちゃて、申し訳なかったわ。』


『気にしないでください。ちょうど終わったところですよ。』


たっぷり氷の入ったコーヒーをトレーにのせながら岩城が答える。


『どうぞ。暑かったでしょう?』


岩城からコーヒーを受け取り一口飲み


『もう夏のようね。社長、この暑さで倒れないでよ?』


佐和が心配そうに言うと


『佐和さん、仕事以外では岩城でいいですよ。なんだかくすぐったいですよ。』

岩城がそう答えると、互いに、ふふっと笑った。


『じゃあ、岩城くん。今日こちらへ伺ったのは、プレゼントを持ってきたの。』

紙袋からリボンがかけられた箱を取り出し岩城に渡す。


『ありがとうございます。開けてもいいですか?』


『えぇ、お気に召すと嬉しいわ。』


ニッコリと佐和が微笑む。
岩城はリボンをほどき箱を開けて目が点になった。


『佐和さん、これ…』


箱には、淡い桜色のエプロンが二枚。


『今度ね、アパレルブランドを立ち上げようと思うの。私達のような生き方してる人間って、デザインやサイズに困るのよね。だから、私の目線から欲しいと思うものや、仲間から意見を集めて手に取りやすくて、いいものを作りたいなって思うの。いずれはオーダーメードも受け入れていきたいと思っているわ。今回は試作品で悪いんだけど…。』


新しく立ち上げる事業を熱く語る佐和の姿に


『へぇ~、佐和さん。すごい行動力ですね。』


『岩城くんのおかげよ。』

『えっ?』


『ほら、雪人からのメッセージ。あれからイロイロ考えたの。』


佐和は、膝に肘をつき手を組み顎をのせる。


『私の世界の理解者が少しでも早く力をつけて大きくなろうとしてる雪人に会えたとき、情けない私を見せたくないってのと…岩城くんが言っていた時間。私には雪人より時間が少ないわ。だから万が一の時に、雪人に理解してもらえる私の世界を一つでも多く残せたらって思ってね。』


佐和の言葉に恋人としてだけでなく、親の愛情も感じた。


『佐和さんの世界は…ほんとうにどれも素敵ですよ。これは1番の作品なんですね。雪人くんではなく。。。俺達が頂いていいんですか?』


岩城が尋ねると


『岩城くん達こそ、私達のキューピッドですもの。それに、雪人には会った時に一緒に作るわ。また大きくなったでしょうし。』


佐和は、現場で鍛えられ成長しているであろう愛しい雪人に思いをはせる。


『そうですね…ほんとうに雪人くんとは気がつかなかったですからね。』


『あら、ごめんなさい。ノロケちゃって…。岩城くん、サイズ合わせてみてくれなしかしら?』


佐和は少し赤らめた顔をハンカチで押さえ、岩城に試着を頼んだ。


『えぇ、いいですよ。えっと…サイズはどこに…』


箱から取り出しエプロンをテーブルに並べる。


『ごめんなさい。試作品だからサイズは書いてないの。広げるとわかるようにしてあるわ。』


佐和に言われエプロンを一枚取り上げ広げると、淡い桜色が肩紐から徐々にグラデーションになっており、裾のほうは淡い紫色になっていた。


『…佐和さん…らしいですね……』


裾の丸みに合わせて縫い付けてあるオーガンジーフリルを見て岩城が言うと


『あら?いつまでも新婚の岩城くん達にピッタリだと思って、ちょうどいま手にしているのが岩城くんのね。着てみてくれるかしら?』


裾に岩城の名前がローマ字で金糸刺繍してあった。
立ち上がりエプロンを着て、少し照れ臭くしている岩城に


『あら、ぴったり~。似合うわよ!いますぐ香藤くんにメールしてあげたいくらいだけど、それはビックリさせるためやめときましょ。香藤くんのも同じデザインよ。』


佐和はテーブルのエプロンを取り上げ広げると、同じように丸みのある裾にフリルが付いていた。


『アイツにフリルですか?』


想像して、吹き出し笑い出した岩城に


『ふふっ…そうね。ちょっとやり過ぎたかしら?でも、こういう家の中の物くらいしかペアルック出来ないでしょう?』


どこか寂しそうに言う佐和に、理解のない偏見の視線を感じることがある岩城は


『そうですね。理解のある方たちばかりとは言えませんからね。これは、ありがたく頂きます。ちょうど9日に帰ってきますから、驚かせてやろうかな?』


エプロンを丁寧にたたみながら岩城が言うと


『そういえば…香藤くんの誕生日ね。』


佐和は、おめでとうと手を叩いて喜ぶ。


『こちらこそ…香藤が、お揃いのエプロン欲しがってましたから、助かりました。』


『そうなの?!ほんとうによかったわ。あっ、岩城くん。私から押しかけといて悪いんだけど…。打ち合わせの予定があるから、これで失礼するわ。』


時計の時間を見て慌てて立ち上がる佐和


『なにもお構いできず、すみません。またお店に伺いますね。』


見送る岩城に


『えぇ~ぜひ、じゃあお邪魔しました。』


日傘をさし頭を下げて歩き出す佐和を、気をつけてと見送り静かにドアをしめた。




佐和からプレゼントされたエプロンを着てキッチンに立つ岩城は、肉じゃがの味見をしていた。


『うん。ジャガ芋にも味がしみたし。そろそろ味噌汁を温めるか。』


ガス台のスイッチを入れたところへ


『ただいま~。岩城さん!あー、いいにおい!!』


元気にリビングのドアを開け香藤が帰ってきた。


『おかえり、香藤。』


振り返った岩城を見て香藤は目をまるくした。


『あれぇ、可愛い色のエプロンだね?新しく買ったの??』


鞄をソファーへ降ろし、キッチンへ歩いていき岩城の全身を見て香藤はさらに声をあげた。


『うわっ…。なに可愛すぎ……。しかも似合う!やばっ…襲いたい!!奥さん!!』


興奮し手を伸ばしてきた香藤に岩城はゲンコツを振り落とす。


『落ち着け…香藤。』


『いったぁ~。落ち着けれるわけないじゃん。そんな可愛いエプロン姿の岩城さん。もう鼻血でそー。』


頭をさすりながら、鼻を押さえる香藤を見て岩城はため息をつく。


『料理もできたし、エプロンはずすか。』


エプロンをはずしかけた岩城


『あぁ、ダメダメ。そのまま、そのまま。ね?お願いします。』


両手を合わせて頭を下げる香藤。


『ほら、鞄くらい片付けてこい。』


岩城は、ため息をつきながらはずしかけたエプロンを直した。


『エプロンはずしたらダメだからね!』


念をおして鞄を片手にリビングをあとにし、階段を駆け上がる香藤の足音が響いた。
騒がしいヤツだと、こぼしながら岩城は、食事の準備を始めた。
  1. 2014/07/17(木) 23:09:38|
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