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新田祐克先生大好き。 BL/腐女子になります。 カテゴリーに分けて掲載をしていきますので、今日のblog(つらつらblog)には、BL/腐女子のつぶやきになります。 他カテゴリーはSSになりますので宜しくお願いします。新田祐克先生の代表作品『春を抱いていた』のSS中心になりますが、たまに他の作品や作者のがあるかもしれません。 ご理解ある方々、宜しくお願い申しあげます。

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春抱き★消えゆく灯しを受け継ぐ者…2

秋も近づく夏の終り。
遅めの夏季休みを岩城の新潟の実家で過ごしていた。

「これから久子さんと買い出しに行くから、岩城さんも一緒に行こうよ。」


階下から聞こえる香藤の声に、岩城は読んでいた本を机に置くと立ち上がると、日焼けだのなんだのと口うるさく香藤に言われるまえにと、帽子・サングラス・薄い長袖シャツを羽織って部屋を出た。


「どこまで行くんだ?町まで行くなら車だすぞ。」


香藤に聞くと


「商店街までだよ。散歩かねて歩かない?」


「そうだな。日も沈んできたし、そうするか。」


下へ降りると久子が玄関で待っていた。


「お待たせ。久子さん。」


「京介ぼっちゃまと一緒に買い物なんて、いつぶりでしょう。」


久子は嬉しそうに笑う。


「本当に、小学校いらいですかね。」


3人で沈みはじめた夕日を眺めながら、ゆっくりと商店街へむかう。

ひさしぶりに訪れた商店街。シャッターがしまる店が幾つかあるなか、幼い頃から、変わらぬままの店から明るい話し声がもれる。
久子が買い物をしに店に立ち寄るたびに


「おや、岩城くんじゃないか?これ、食べな。」


香藤が手にする買い物袋へサービスだと品を入れる。

「お久しぶりです。ありがとうございます。また来ますね。」


立ち寄るたびに繰り返される会話。


「岩城さん人気者だねぇ~。」


香藤が膨らんだ買い物袋を片手に岩城に話しかけた。

「京介ぼっちゃまは、この町の誇りですから。」


久子は自慢げに香藤に答えた。


「何もない…この町のから立派な俳優さんが育ったと皆さん喜んでいます。そして京介ぼっちゃまの支えになってくださってます香藤さんのファンも多いんですよ。ですから、その膨らんだ袋はお二人様への応援ですよ。」


「なんだか嬉しい重みだねぇ。」


香藤はニヤケタ顔で久子に返す。


「おい!香藤。顔がゆるんでるぞ。久子さん、この先はもう閉まっているはずですが…。」


商店街の奥へ奥へと歩みを止めない久子に声をかけた。
この先には、岩城が通いつめた書店があるだけだ。
その書店も久子からの手紙で閉店の知らせを受けた。


「ぜひ、お帰りになられる前に見ていただきたくて、行きましょう。」


岩城は、もう記憶にしかない書店の今の姿を認識するために久子が案内してくれるのだと、ややうつむきながら歩いていくと、店から灯りがもれている。


「着きましたね。ちょっと休憩していきましょう。」

久子がドアを開けカランカランと鈴が響く店の中へ入っていく、誰もいない店内に戸惑いながら岩城と香藤も中へ入る。
店内は柔かな光と穏やかな音楽、壁一面は本で埋め尽くされ、カウンターと小さなテーブルが3つ。


「この席にしましょう。」


久子が入り口から2つめの椅子に座ると、岩城と香藤は壁を背に久子のむかいあうように座り、ここは、どういう店でと聞こうとしたところへ


「いらっしゃいませ。」


奥から現れた初老の男性は来店客に目を丸くした。


「岩城くん!!」

「店長さん!!」


岩城は男性を見て驚き立ち上がり、初老の男性はカウンターを飛びだし岩城に駆けよった。


「いやぁ~。ひさしぶりだねぇ~岩城くん。立派になって…。」


嬉しそうに岩城の手を握る店長の目には涙が浮かんでいた。
久子は二人を嬉しそうに見ていた。急に現れた初老の男性にキョトン眺めていた香藤が


「あー!あの書店の写真の人!」


「そうでございます。閉店されたあと、しばらく休まれたあと…地元の憩いの場になればと、書店喫茶を始められたんですよ。」


久子の説明に岩城は店内を改めて見回した。
棚ごと揃えてある本がことなる。絵本・学習の本・文芸書・生活…あらゆる本で溢れている棚


「書店喫茶なんて、かっこつけてるけど、ただの私の自己満足さ。どうも本に囲まれていないと落ち着かなくてね。あぁ、いま珈琲いれてくるよ。」


岩城を椅子に座らせカウンターの中へ戻った。


「こちらの本は書店の時の物もありますが、店長さんが購入されて並んでいる新しい本もあるんですよ。お茶を飲みながら本に触れてもらい、本の楽しさを感じてもらおうという造りですよ。」


「へぇ~。読んでいいの。」

「えぇ、休日は本を読んでいる方や勉強している方で、いっぱいですよ。」


久子が説明していると店主が珈琲を運んできた。


「お待たせ。若い女の子には、あの棚が人気だよ。」


店主が指差す自分たちの後ろの棚には、岩城と香藤の写真集が並べられていた。
写真集の下には、岩城や香藤が出演した作品の原作本がズラリと並んでいる。


「すごい…。」


香藤は感嘆し。


「なんだか気恥ずかしいな。」


岩城は照れくさそうに珈琲を口にした。


「何を言っているんだい岩城くん。君らの演技で、本なんってと笑っていた若者が、本の楽しさの虜になっているんだよ。」


店主は嬉しそうに話す。


「そうですよ。京介ぼっちゃまや香藤さんのドラマを見て、こちらで本をお読みになっていた若い方が、それをきっかけに、ご自分で本を買われたり、なかにはご自分で見つけられた本を皆様に知って欲しいと、ここへ持って来られる方もいるんですよ。」


「自分の我儘で始めただけなんだけど結果…みんなにいいことになって良かったよ。そこは岩城くんと一緒かな。」


幸せそうに微笑むと店主は、玄関にむかい【営業終了】の札をさげ看板の灯りを消して、今日は僕の奢りさ。ちょと奥で急ぎの本の整理してくるから何かあったら声かけてよ。と言って去っていった。


「だって…良かったね。岩城さんの俳優としての実力誉められちゃったよ!」


「あぁ…。」


香藤にポンと肩をたたかれた。岩城は小さく頷くと目頭を押さえた。
そんな二人を久子は穏やかに微笑んでいた。


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  1. 2017/01/27(金) 16:39:17|
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