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新田祐克先生大好き。 BL/腐女子になります。 カテゴリーに分けて掲載をしていきますので、今日のblog(つらつらblog)には、BL/腐女子のつぶやきになります。 他カテゴリーはSSになりますので宜しくお願いします。新田祐克先生の代表作品『春を抱いていた』のSS中心になりますが、たまに他の作品や作者のがあるかもしれません。 ご理解ある方々、宜しくお願い申しあげます。

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春抱き★消えゆく灯しを受け継ぐ者…3

温かい珈琲を飲みながら店内の本棚に並ぶ本を、ゆっくりと眺めていく。
ところどころ表紙を見せるように陳列され、手書きのPOPが添えてあり用紙の形も字も彩りも全てことなるのに気がついた。


「店長さんの字だけじゃないな。」


ポツリと呟いた岩城に


「気がつかれましたか?お客様が、こちらへ置かれた本は、持ってこられたお客様がPOPを書かれるんですよ。カウンターにはお薦め本情報ノート。そして…」

久子は立ち上がり岩城と香藤の関連書籍の前に歩いていき、写真集の隣に立て掛けてあるノートを手に取り

「こちらは、京介ぼっちゃまと香藤さんのファンのメッセージノートです。」


ノートの表は二人の雑誌を切り抜いたもので鮮やかに飾られていた。


「おっ。みんな俺達のことよくわかってくれてるね!」


そう言い久子の側に行き香藤はノートを手にする。岩城はノートを見て思わず口にしていた珈琲を吹きそうになった。


「おまっ…。よく…そんな平然としていられるな。」

「えっ?なにが?いまさらでしょ。岩城さん。俺も、これくらい写真デコろうかなぁ~!」


香藤が手にしているノートの表紙は、岩城と香藤の雑誌の切り抜きや可愛らしいハートやリボンでコラージュされていた。


「綺麗でございましょう。」

久子の言葉に


「器用だよね~。ここなんて、岩城さんが俺に飛び込んでくるような風にしてあるよ。」


香藤が指さすところには、腕を空へ伸ばすようにしている香藤の腕の中へ岩城が飛び込んでいくように飾られていた。


「雑誌の切り抜きを、うまいこと使って…すごいなぁ~。」


パラパラとノートをめくると、ドラマの感想や応援メッセージで埋めつくされている。


「おっ、これ凄い!!」


思わず目をとめたページを開いたまま席に座りなおし岩城に見せる。
ノートを見た岩城が


「へぇ。。。たしかに凄いな。鉛筆だけで、こんな綺麗に書けるものなんだ。しかも、この背景??子供の時に凧上げしに出かけた草原にているなぁ。」


そのページには、自然あふれる草原を二人が寄り添い歩いている姿が描かれていた。


「その場所ですよ。今も変わらず緑ゆたかなまま、皆に愛されているやすらぎの場所ですよ。昔と違って色々と厳しくなりましたので凧上げはできなくなりましたが、きっとお忙しい二人が、ゆっくりできることを思われたのでしょうね。」

久子の言葉に


「岩城さんの思い出の場所なんだ!今回は無理だけど…次に来たときは、お弁当持ってさぁ~。みんなで行こうよ。」


「まぁ、それは楽しみができました。」


嬉しそうに笑う久子の姿を見て


「そうしようか。」


岩城も答えた。
机に広げたノートを3人で見ていると


「おっ、みつけたかい。」


店長が戻ってきた。


「このノートはファンの子の提案なんだよ。つい…昔よく岩城くんが来てくれていてねとこぼしちゃって…」


気まずそうに店長が岩城に話す


「なんでもファンの方は、ここは岩城さんの聖地?とおっしゃいます。」


聖地の意味があまり分からないような表情で続ける久子に


「あぁ、応援する人のゆかりの場所や撮影に使われた場所を聖地って言うんですよ。その人が好んだ場所や景色を眺めて同じ空間にいることで改めて好きな気持ちを実感するというか…嬉しい気持ちになる。そういうのを聖地巡礼というんですよ。で、来れた喜びを伝えたくて残したくてノートができたのかなぁ。」


香藤は久子に説明しながらノートをめくる。あきらかに地元客とは思えない書き込みもチラホラ見られる


「店長さん。恥ずかしい話とかしてないでしょうね?」


岩城が心配気に聞くと


「そこは大丈夫。役者になりたくて読書熱心な青年だったと話してるだけだよ。話す内容は気をつけてるさ。ま、香藤くんには何でも話してもいいよね。」


「え!?なに?どんな話し?」

身をのりだす香藤の肩を岩城が話を遮るように掴む。それを目の端にいれながらも店長は続ける。


「ん?『なんで、僕の本とお兄ちゃんの本は違うのってね。同じのがいいって。』久子さんに手をひかれ絵本を抱きかかえて来たよね。たしか幼稚園のころかなぁ~。」


「えぇ。覚えております。まだ漢字が読めないのに同じ本にしてもらうんだと頼まれて連れてきましたね。 」


「可愛い~。で…店長さんはどうしたの?」


「本には楽しむ順番がある。お兄ちゃんもその本をたくさん楽しんで、それから少しずついろんな本を楽しめるようになった。だから、まずその本を楽しんで、僕に楽しかったところをたくさん教えてくれたら、次の本を僕が選んであげる。ちょっとずつお兄ちゃんのように本を楽しむことを覚えようってね。」


「それで?」


「あぁ。それからは早かったなぁ。小学生になるとあっというまに児童書を読み、高学年になると文芸書も読みはじめたからね。」


「へぇ~。読書家岩城さん誕生秘話じゃん。岩城さん情報ゲット~!!」


香藤が岩城の幼い頃の情報に嬉しそうにする傍ら岩城は恥ずかしそうに頭をかかえていた。
それからしばらく四人で話に花が咲き、店長のお腹が鳴る音でお開きになった。

「今度来るときは、貸し切りにするから連絡してくれよ。みんなで酒でも飲みながら本談義でもしよう。」

店長はポケットから名刺をだすと岩城に渡す。


「ありがとうございます。楽しみにしています。」


「うげっ、じゃぁ…俺も今より本読まないとやばいね。うわぁ~俺…苦手なんだよね、本選ぶのぉ~。」


後半、文芸書談義になり途中でついていけなくなった香藤は焦りぎみに答えた。

「香藤くん。そこは心配しなくても、岩城くんが読んだ本を読めばいいだけだよ。なんせ岩城くんの本のセレクトは外れないからね。」


店長さんは香藤の肩をポンとたたいた。


「あっ、そうか!じゃ、岩城さんよろしくね。」


「途中で放棄しないのなら今夜からでも貸すぞ。」


いたずら心を覗かせる岩城の笑みに


「あっ…いや…東京帰ってからでいいです。ほら、帰って夕飯にしよう。俺、お腹すいちゃったよ。」


両手をふりかざし香藤のあわたふためく姿に皆が笑い

「そうだな。本当に今日はありがとうございました。」


岩城が店長に頭を下げ


「あぁ、また待ってるよ。応援してるから。」


握手を交わして店を後にした。




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  1. 2017/01/27(金) 16:46:05|
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